グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  在学生の声

在学生の声


先輩たちの心理学研究 Ⅰ

研究テーマ
画像注視時における臨場感尺度の作成
横山 尚輝 4年(取材時の学年) 
[愛知県・国立愛知教育大学附属高校出身]
VRから得られる臨場感をどう定義づけるか。
バーチャルリアリティ(VR)や高画質ディスプレイといった高い臨場感を与えるメディアが身近になるにつれて、高臨場感下の心理状態に関する研究も盛んになりつつあります。しかし、「そもそも臨場感とは何か」という定義について心理学的観点から語られることが少なく、研究者ごとに異なる定義のもとで臨場感の研究が進められている状況です。私は、心理学分野における臨場感の概念を統一することが必要だと考えました。

統一された尺度を作って心理学研究に貢献。
卒業研究では、臨場感に関わる質問を数多く作成し、高臨場感を与える画像を見た上で、各質問に7段階評価で答えてもらうアンケートを大学生100人に対して実施しました。アンケート回答を、SPSSという統計解析ソフトを使って処理し、尺度として有効な質問項目だけを厳選しました。この質問項目を用いることで、異なる研究者でも同じ条件のもとでの臨場感研究が可能になったと自負しています。

実践を通して学んだ
データサイエンスを将来の強みに。

中学時代に心理学に興味を持ち、心理臨床の専門職になるために愛知学院大学に進学しました。VRとの出会いは3年次のゼミ活動。心理学の先進国アメリカでは、恐怖心の克服など心理臨床の現場で既にVRが活用されていると知り、将来の自分の仕事にも関わる可能性があると考え、研究テーマにしました。
所属しているのは統計学を専門とする先生のゼミです。客観的根拠に基づく実践が重視される心理臨床分野をめざす自分にとって、このゼミでデータサイエンスを学んで卒業研究に結実させた経験は強みになるはず。進学先の本学大学院では、身につけた心理学全般の知識と統計学のスキルを活用して、卒業研究と関連のある研究をさらに深めるつもりです。

先輩たちの心理学研究 Ⅱ

研究テーマ
青年期における母親からの精神的自立と親密性
 ―母娘・母息子の比較と家族との同別居の影響について―
内藤 柚月 4年(取材時の学年) 
[愛知県立吉良高校出身]
自立に影響するのは同別居か、子の性別か。
青年期は親からの精神的自立の時期であり、この時期の親との同別居は、自立に大きく影響する要因の一つといえます。また、娘と母親の精神的距離は「一卵性双生児」に例えられるほど近く、子の性別も大きな要因になり得ます。研究にあたり、「母親と同居する娘は母親との距離が最も近いため自立度が低い」「別居する娘は母親への依存が薄れ、自立度が高い」「別居の息子は母親との距離が最も遠く、自立度が高い」といった仮説を立てました。

物理的距離よりも精神的距離が大きく影響。
複数の先行研究を参考に作成した質問紙を用いて大学生54人に対して調査した結果、「母親へのこころづかい」を見る質問では、同居・別居ともに息子の得点が高く、また「母親への愛着」を見る質問でも同居別とは関わりなく、娘の方が高い得点が得られました。母親との精神的距離が大きい男子の方が女子に比べて自立度が高く、同別居の影響は小さいという意外な結果になりました。

発達心理学の知見を生かして
自分を見つめ、未来の自分を展望する。

2年次の「発達心理学」の授業で、特に乳幼児期の発達の大きさを興味深く学びました。3年次からは発達心理学のゼミに所属し、青年期の発達を研究テーマにしました。私は実家で家族と同居しており、特に母には生活全般で世話になった実感があります。一方、一人暮らしをする友人たちが大人びて見える気もして、親との同別居と精神的自立の関係を知りたいと思いました。この調査では、母親からの自立や母親への愛着は、物理的な距離よりも性別が大きく影響することが分かりました。
今後は社会人として心理学全般の知識を生かします。また、いつか自分が母になったとき、子どもへの愛情の注ぎ方などの面で発達心理学の学びが役立つと思っています。

先輩たちの心理学研究 Ⅲ


研究テーマ
競技レベル別にみた大学生アスリートの自己形成が精神的健康に及ぼす影響
 ―本来感と随伴的自己価値に注目して―
小川 由香 3年(取材時の学年) 
[愛知県・私立岡崎城西高校出身]
アスリートの精神がいつも健康とは限らない。
競技レベルの高いアスリートは、誰の目にも輝いて見えます。一般にも「スポーツマンは心身ともに健康な人」と考えられがちです。しかし自分の経験を振り返ると、すべてのスポーツマンがこのイメージに当てはまるわけではなく、また競技レベルの高いアスリートが不眠などに悩まされる例も多く見てきました。

強豪大学のアスリートたちを対象に調査を計画。
そこで私は、大学生アスリートの「本来感(自分らしくある感覚)」と「随伴的自己価値(周囲の影響により自己価値がゆらぐ傾向)」を測ることで、競技レベルの高低と精神的健康の関連を明らかにしようと考えました。先行研究では、アスリートの精神的健康と本来感は正の関係を、また精神的健康と随伴的自己価値は負の関係を示すことが分かっています。ここに「競技レベル」という軸を加えて、日本体育大学・至学館大学・筑波大学の女子バドミントン部員を対象に、調査を進める予定です。

高いレベルの競技経験を経て、
アスリートを支援する道へ。

高校時代はナショナルチームに所属して国体にも出場、日本体育大学に進学してインカレで好成績を上げるなど、バドミントンに打ち込んできました。精神的不調に陥ることもあり、カウンセラーと話すことで自己肯定感を取り戻せた経験があります。「自分もぜひこの職業に」と考えて、卒業後に改めて愛知学院大学の門をたたきました。
臨床心理学をやるぞ!と意気込んで入学しましたが、おもしろさを感じる分野がとても多いことに気づきました。新たな友人にも恵まれ、充実した毎日です。卒業後は大学院に進学して公認心理師の資格を取得し、若いアスリートたちが抱えるこころの問題への対処や引退後のキャリア開発を支援できる専門職に就くことが目標です。

先輩たちの心理学研究Ⅳ

研究テーマ
自己連続性への自伝的記憶の影響
藤本 明歩 3年(取材時の学年) 
[岐阜県立可児高校出身]
コロナ禍がもたらした自己連続性の低下。
「自己連続性」とは、過去の自分が今の自分につながっているという感覚のことを言います。私自身、「ゼミでは、仲間と向き合って議論ができる」と期待していましたが、コロナ禍によって過去の想定とは異なる現在を過ごさざるを得ず、自己連続性が低くなったと感じています。この感覚を高める方法を知りたいと思ったことが研究の動機になりました。

「学校」という言葉から思い出すことは何ですか?
先行研究を参考に、「自己連続性は、自分にとって重要な過去の記憶(自伝的記憶)を思い出すことで高まるだろう」、また「自己連続性を高める自伝的記憶は、重要度・鮮明度・感情喚起度・想起頻度が高いだろう」という仮説を立て、現在は調査計画の立案と質問紙の作成に取り組んでいます。被験者に「学校」という言葉に関する自伝的記憶を想起してもらい、その前後で測定した自己連続性の尺度を比較することで、この仮説を実証しようと考えています。

カウンセリング以外にも
多彩な心理的支援の方法を学ぶ。

小学生の頃、友人関係の悩みを先生が聞いてくれたことで気持ちが楽になった経験があり、学校でのカウンセリングに関心を持ちました。愛知学院大学に入学し、「人格心理学」をはじめとする多様な心理学の科目を学んだことで、言葉を使うカウンセリング以外にも、さまざまな心理的支援の方法があることを理解しました。
3年次からは臨床心理学のゼミに所属。進度が比較的速いゼミで、3年次のうちに卒業研究のテーマを決め、質問紙の作成までを済ませてしまいます。調査やデータ集計はこれからですが、仮説を立てたり調査計画を練ったりするうちに、自分でも「過去があるから今がある」という感覚が高まっており、仮説を実証できる手応えを感じています。